MUSIC MINI STORY
    音楽イメージストーリー

     『 MIDNIGHT 2 CALL 』
                                  作詞作曲 飛鳥  涼
                                     原案 草野  中
                                         池馬 白栂 著


 「久しぶりだね……何かあったの?」
 電話の向こうで君はなにかを僕に伝えようとしていた。
 僕の頭の中に懐かしい声が響く。
 それと同時に昔の思い出がよみがえってくる。
 あれはいつだったろう―――長い日々が流れている―――
 「来て……お願い。あの場所へ……」
 君の電話は切れた。
 僕はすぐに家を出ると思い出の公園へと向かった。
 春の足音が聞こえてきた深夜……街灯に照らされている公園。
 ゆっくりと奥へ進んでいく。
 そして噴水の前に出る……黒いシルエットが浮かんでいる。
 「久しぶりだね……」
 君は泣きはらした顔を上げ、昔と変わらない声で
 「久しぶりね」
と言った。
 噴水は静かに水面を揺らし、二人の影を映している。
 「少し大人になったかな」
 彼女が澄んだ声で小さく言う。
 「君は全然変わってないよ」
 彼女は下を向いたまま何も言おうとしない。
 ふと僕は自分の部屋の写真を思い出す。
 ほこりをかぶって動かせずにいる君の写真……気づかなかっただけ……
 本当に気づかなかっただけ……
 春の風がながれていく。
 ずるいよ……こんな時だけ。
 君から去っていったくせに……
 いまさら……何
 風に木々がゆっくりと揺られている。
 長い沈黙が続く。
 僕はゆっくり顔を上げた。
 やさしい口調で僕は君に言う。
 風が頬をなでる。
 「今夜は少し暖かいから……一人で帰れるだろう……ね」
 風がやさしい……
 君は下を向いたまま首を横に振る。
 「なぜ?」って聞こうとする僕を留めるように彼女は顔を上げた。
 瞳には涙が溢れ出て僕は言葉を失った。
 何か言いたいのに……
 声が出ない……何を言いたいのかわからない……
 そして君は僕を見つめて……
 小さな、今にも消えそうな声で……
 僕の上着を片手でしっかりとつかみながら……
 「今夜は無理……今夜だけは……む……り」
 君のすすり泣く声だけが公園に響く。
 春近い夜は僕らを包んだまま、ゆっくり時を刻んで行く……




   あとがき
 今回は少し変わった書き方をした。
 曲をモデルとして物語を作った。
 歌詞は小説の各部に出てくるが場所、季節などはまったくの想像である。
 歌詞が飛鳥さんのものなので非常によく情景が浮かび書きやすくはあった。
 今回も原案はパートナーだが、今回は原案というよりは絵から出たアイデアといったもので、原案はやはり飛鳥さんであろう。
 この曲「MIDNIGHT 2 CALL」は飛鳥さんの初のソロアルバムとして発売された「SCENE」の最後の曲として収録されている。
 このアルバムはすべてがバラード曲で10曲が収録されている。
 後に、今から半年ほど前に発売された「SCENEU」も大ロングセラーで今でも売り上げベストに入ってくるほどである。
 今回のような作品は簡単といえば簡単なのだが、うまく曲を掴めないととても書くのが難しくなる。
 特に曲のイメージとずれてしまってはもともこも無いので注意しなくてはならない。
 このタイプの作品は面白いのでこれからも書いていこうと思う。
 個人的にパートナーと同じようにC&Aの曲が好きなので、もし次回作があれとすれば、多分そうなるであろう。
 また長編「雪の中のキューピット」やパートナーとの共同作「(仮題)修学旅行殺人事件」の方も応援してもらいたい。
 これからも時間があれば今よりモット良い作品を書いていきたいと思う。
 いつも付き合っているパートナーと他のみなさんにお礼を言いたい。
 そしてこれからもよろしくお願いしたい。
                                         夢旅人  池馬 白栂

   HPあとがき
 何といっても……あとがきが長い!
 まあそれはおいといて……
 この作品についてもほんの少しだけ、今回のアップに際して訂正している。
 なるべくならば修正を加える事はしたくないのだが……
 作品自体は短い。
 しかし書くのに2時間近くかかっている。
 いかに遅筆かという事を証明したような作品である。
 しっかしこの作品、使ってる言葉が歌詞のまんまやなぁ〜
 なんか「あとがき」で曲のイメージとかいってるけれど、格好つけ過ぎ……
 まあこの作品でこの次のミュージックストーリーシリーズへと流れていく訳で。
 まあそれについては読んでみればわかるから……


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