パーンパン シュウィーン……ダダダ…… 銃の音と味方の持っている電子銃(ビームスタンガン)の音が響く。 すぐ横には銃を持っていない高校生が二人、そして俺は同い年ながら銃を持ち、時々味方の援護をする。 そして…… 「こんなことになるとは思わなかったよ」 俺の高校の友人、小賀野が一言言うと続けてもう一人の友人、南谷が 「まったくだぜ。それにしてもお前は銃なんか持っちゃって……何者なんだ?」 それを聞くのも無理はない。何といっても俺についてきたおかげで、暴力団との一戦の中に飛び込んでしまったのだから。 近くにいる中年の先輩に目で質問し、その答えが出ると俺は黒い手帳を取り出し、二人の前に突き出した。 日曜日……昼飯を食べるとすぐに俺は小賀野の家へと遊びに出た。 しかし普通と違い、黒いジャケットを羽織り、その中には電子銃と手帳が入っている。 「まったくこの頃は非常呼び出しが多くておちおち遊んでもいられない」 小さな声でぼやきながらバスに揺られて15分。小賀野の家に着くと、既に南谷とパソコンゲームをやっている。 「よう池馬、やっと来たか……」 今日は小賀野の家には俺たち以外誰もいない。それをいいことに二人は昼間っからワインを口にしている。 「まったく、昼間っから酒かよ。信じられない奴等だな」 俺は二人に向かっていうがまったく無視。思わず捕まえてやろうかとも思う。 そこへ玄関のチャイムが鳴り「お邪魔します」という声と共に同級生の女の子が入ってきた。 「どうしたの? 村山さんに斑尾さん。おい、おまえらいつから二人を呼べる立場になったんだ?」 俺が疑問の声を上げると、小賀野がニヤっと笑って 「お前がいるからさ」 と答えた。 俺が? という顔をしているところへ 「じゃあ、アドバイスお願いしますね」 と村山美加はにっこりと微笑んだ。すると隣でも斑尾未央がにこやかにしている。 そして俺の前に置かれたパンフレットとガイドブック、地図、最後に小賀野が時刻表を持ってやってくる……「は、はめられた……」 俺を呼んだわけは簡単。時刻表は読めるし旅の知識も豊富。 そして何より一番の決め手は「女性に弱い!」ということだ。 ついでに何故この二人がここへ来たかというと……南谷は密かに村山さんのことを好き……ってことはやっぱりはめられた訳だ。 「さっそくはじめようよ。今日中に全部決めないと……こんな時に真子のやつ休むんだから」 ちょっと未央がいじけている。 真子……石川真子、同級生で仲の良い女友達のことで、昨日彼氏とデートらしく今日ここへ来る予定だったのにサボった訳で……聞きたいことがたくさんあるのにっ! といった感じである。 「みっともないわよ、未央」と美加がたしなめる。 みんなはたくさんあるパンフレット類をひっくり返したり俺が時刻表で調べたり、雑談に花を咲かせたりとゆっくりと計画、女の子達6・7人で行く夏休みの旅行計画を立てていった。 途中、長引いたために夕食のラーメンを取り、8時ごろまで雑談を楽しんでいた。 もちろん一番楽しそうなのは南谷、一番疲れているのは俺。楽しかったが、目が痛くなった。 そして計画も決まり、お開き予定の10時より1時間ほど前。 突然に俺のデジタル時計がなった。 すぐにトイレと言って席を外す。実はこの時計、小型のレシーバーになっている。 このことを知っているのは一般人では小賀野と南谷だけだ。 後から南谷が「行くのか?」と声をかけてくる。 小さくうなずいて女の子二人に「急用」と行って小賀野の家を出た。 女性二人には訳が分かず「なんで?」と聞かれたが適当にごまかした。 後はあの二人が上手くやってくれるだろう。 俺は桜田門へ向い、警視庁の門をくぐった。 |