なんで……なんでああなちゃったの…… 今までのは何だったの……ただの友達…… それじゃあんまり…… うっすらと積もった雪の上でただ遠くを見つめる。 始まりは1ヶ月前の新宿…… 私たちは秋の風が吹く街をデートし、駅へ歩いてた。 その時、 「あれ? あいつ……」 「彼がその女性を見つけて近づく。 「やっぱり佐和子君か……」 「知り合い?」という私の声に彼は簡単に「大学のサークルの後輩」とだけ答えた。 でも、彼女泣いてた。 理由は話してくれなかったけれど、とにかく私たちは彼女を連れて彼のマンションへと連れて行き、私は途中で一人で帰った。 彼と彼女を2人きりにさせておくのはどうかな? とも思ったけれど、彼のこと信じてたし…… それから2週間ぐらい2人とも忙しくて会えなかった。 どちらかの予定があいていてもどちらかが駄目なんていう日が続いて…… 久しぶりのデートで私たちは食事を済ませて、夜の街を歩いていると、 「ごめん。ちょっと用事があって……」 と言って、彼は私と別れて駅のほうへ急ぎ足で消えていった。 その時は「大事な用事じゃ仕方ないな」と思ってたんだけど…… その後もデートの途中で抜け出すことが時々あって、ある日思い立って、彼の後をつけてみることにしたの。 結構、彼、人込みの中を行くのが早くて苦労したけれど、何とか気づかれずにつけて行くことができた。 でも、そこでは目を疑うような光景が待っていた…… 彼が柱の側に立っている佐和子さんに親しそうに声をかけ、2人一緒にその場を離れて行った。 私はそこに立ち尽くしてしまった…… 信じられなかった……まさか彼が……そんなって。 体中から力が抜けていくようで、もう少しで座り込んでしまいそうだった。 家に帰ってから彼の写真を破ろうとした…… でも、できなかった。 それから後も彼と何回かデートをした。 あの日以来、彼は途中で抜け出すことは無くなっていた…… しゃべり方も今までの彼と何も変わらなかった。 「佐和子さんとはどうなの!」って何度も聞こうと思った……けど、聞けなかった。 「別れよう」なんて言葉を彼の口から聞くのが恐かったから…… それから1週間ほどたったある日。 偶然に見てしまった! 買い物で新宿に出てきた私が、彼と佐和子さんが一緒に宝石店に入って行く姿を…… そしてその中で楽しそうに選んでいる2人……もう私、訳がわからなくなって、その場から走り出した。 後ろのほうから彼の声がしたようだったけど、ただひたすらに走った。 目から涙がこぼれるのが自分にもわかった。 家に飛び込むとボストンバックに服なんかを無理に押し込め、あるだけのお金と通帳、カードを持って家を飛び出した。 とたん、となりの仲のいい女子大生にぶつかりそうになって、 「ごめんなさい」と早口で言うと、急いで駅へ向かった。 涙、見られたかな? と思ったけれど、関係ないとも思ったからハンカチで目を押さえながら列車に乗った。 とにかく北へ行きたくて最初に青森、新潟、そして金沢。 もう悲しくて、悔しくて……それでもおなかが減るのには自分でびっくりしたけれど。 「死のうか」と思って東尋坊にも行ったけど、なんだか馬鹿らしくなって独り旅を続けた。 次に富山、能登。 そしてこの山の麓へ…… もしかしたらこの場所にくれば何もかも忘れられると思ったから。 でも……逆に悲しみだけが込み上げてきて……なんで…… ちらちらと白いものが舞い降りてくる。 目から涙が溢れて出てくる…… そこへ誰かが肩をポンと叩く……誰も居ないはずなのに…… 「待ってたよ。ここへは絶対来るって……となりの子が教えてくれたんだ」 私ずっと誤解してたみたい。 彼は佐和子さんの親と恋人の仲をとりもつために毎日のように走り回ってたんだって……彼らしいと彼らしい行動だけど。 そこが彼のいい所で、私の好きな所でもあるんだけど…… 「これ、4日ぐらい遅れちゃったけど……24回目の誕生日、おめでとう」 彼がすっと小さな箱を差し出す。 私はその箱を手にとってゆっくり開ける…… 「プレゼント気に入った? 佐和子君に選んでもらったんだけど……」 私は大きくうなずくと 「ありがとう! 秀一っ!」 といって彼に飛びついた。 雪が少しずつ強くなってくる。 私は指輪を左手の薬指にはめた。 「帰ろう、雪菜。プレゼントと宿泊費でもう貯金が無いんだ……」 私は少し微笑んで、その高原をあとにした…… |
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この作品は実は結構気に入ってます。 なんか「失恋日誌」と非常に良く似ている設定なんですが、なんか個人的には好きです。 原因は不明です(笑) ただ、男の理想の女性を書くのが好きなだけかもしれませんね。 ですから「勝手だ!」なんて思わないで下さいね。 私の作品には「雪」がよく出てきます。 この主人公の名前も「雪菜」ですし……(笑) 出てこなくても、ほとんどの季節設定は何故か冬です。 逆に夏の海岸はまったく出てきた事がありません。 何なんでしょう? 私が好きっていうのが第一の理由ですが、じゃあ「何で好きか?」って聞かれると困りますね。 でも、やっぱり私には夏は似合わないんじゃないだろうか、という思い込みから夏の物語が無いのかもしれません。 いつかは「夏!」って言う作品も書いてみたいなぁ〜 でも、プロットが浮かばん(~_~;)(笑) 誰かアイデア下さい! |