空が白み始め、太陽が顔を出す。 朝霧の立ち込める教会の中、マルチェロは両手を胸の前で組み、目を閉じていた。 朝の礼拝は、教会を抜けた後もずっと続けていた。 女神に祈っているわけでもない。特定の邪教に染まったわけでもない。 ただ、こうしていることで、心が静まることを知っているから。 誰に祈るでもない。自分のため。 もうずっと前から、このどうしようもない憎悪の正体に気づいている。 これは、人を惹きつけて止まない彼への嫉妬。 彼を欲し、束縛したいと思う自分自身を、何より嫌悪した。 自分は、それを都合よく過去の恨みと摩り替えていただけ。 全て承知でそれでも俺を許し、俺に縋りつく。そんな彼が怖かった。 昨日の夜が遅かったのか、ミニモンはまだ部屋で寝ている。 たった一人の礼拝堂で、組んだ手を崩し、ただぼうっと、その邪神像を眺めていた。 どれだけ時間がたったろう。 人の気配が近づき、後方の扉が軋んだ音を立てた。 近づいてきた足音に振り返る。 窓から差し揉む朝の光が、銀の髪を輝かせた。 「兄貴、これ書いてくれよ。」 手渡されたのは、冒険の書。 なんのつもりかと目で問うたが、彼は真っ直ぐに見つめ返すだけだった。 使い込まれたその本をパラパラと捲り、顔を顰める。 汚いものでも見たように唇の端で笑う。 「酷いな。」 その嫌悪は、半分はククールに向けられ、半分はマルチェロ自身に向けられている。 「まるで詐欺師か娼婦だ。」 もうこれ以上見る必要も無い。最後のページを開き、ペンを手に取った。 「また見せに来る。」 流れるように描かれていく手本のような文字。マルチェロのペンは止まらない。 「その時までに整理してくる。」 思わず、ペンを動かす手を止める。 書こうとしていた次の一文。書かないままに本を返した。 「らしくもない。そんな事をしてなんになる。 今更なにをしようと過去は変えられない。お前の身体は穢れたままだ。」 "俺の罪も、消えはしない" 彼が傷付くには十分な言葉。だが、ククールの目に影は射さない。 「それでも、また来るよ。」 返す嫌味はいくらでも思いついた。 だが、躊躇ってしまった。 村を出たところで、近づいてくる影を見つけ、空を見上げた。 教会に居たあのミニデーモンが、ククールを追ってきた。 「持っていけ。」 そう言って落とされたのは、昨日の本。オディロ院長のダジャレ本。 「マルチェロ様が、お前に渡せって。」 ――会いたい―― 手にとった瞬間、マルチェロにそう言われたような気がした。 ラブレターでも受け取った気分だった。 挨拶も無くそのまま飛び去っていくミニデーモンの影。 ちらちらと遠目にククールを見送る谷のモンスター達。 この場所が、何かを変えてくれる。 そんな予感が、ククールの背中を押していた。 --------------------------------------------------------------- 三角谷住みたい!ミニデーモン超可愛い!(≧▽≦*) そんな個人的思い入れから、 マルチェロの荒んだ心を癒せる場所はここしかないと思いました。 ラブラブハッピーエンドを目指したつもりでしたが 微妙な関係のままというのもこの二人に限っては有りだと思うのです。 そしてバッドエンドとしてこんな事も妄想。 マルチェロが邪教に目覚める 悪魔神官を目指す(Uのハーゴンみたいな感じ) ドラクエ\の悪役に大抜擢! そしてドラクエ\の勇者はエイトとミーティアの子供! 是非見てみたい。